遠隔学習指導レポート 第3回 高校2年
2020.06.10
4月14日(火)の新年度1学期開始と同時に始まった本校の「遠隔学習指導」。
生徒・教員双方のICTリテラシ―を少しずつ高めながら、Office365の諸機能を用いて3段階のステップを踏んで進めて参りましたが、開始から1ヶ月以上が経ち、その内容はかなり充実したものになりました。
▼(参考)保護者向けに配信した文書
「インターネットを介した遠隔学習指導について」(4月14日)
「休校措置延長後の遠隔学習指導について」(5月7日)
「遠隔学習指導」のコンテンツは、中1から高3までそれぞれの学年に応じた内容にするため、担当教員の創意工夫やアイデアが随所に盛り込まれており、実に多種多彩です。
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学年ごとの「遠隔学習指導」の様子をレポートする第3回は、高校2年です。
1.ホームルーム
高2はすでにiPadを全員に持たせていましたので、ホームルームは初めからTV通話方式(同期双方向型)で行われました。
以前から「ロイロノート・スクール」や「Classi」も使用していましたので、Office365と併用して早い段階から双方向性が確保出来ていました。
2.英語の授業
英語の授業では、オンライン教材『College Pathway』を活用しています。
e-learning サービスである『College Pathway』を⽤いて⾏なっているのは主に語彙学習であり、市販の語彙学習教材と併⽤するかたちで、⽣徒が暗記練習や並び替え問題、ディクテーションなどの練習に定期的に取り組めるよう運⽤しています。
また教科書レッスンの⾳読練習に家庭でも取り組みやすくするため、⾳読⾃動採点機能を持つ『EnglishCentral』 というサービスも使⽤しています。
休校期間を経て、昨年度運⽤していたときよりもより多くの⽣徒が継続して上記の e-learning サイトでの課題に取り組むようになった印象です。おそらく運⽤⽅法をよりわかりやすくしたり、週ごとの報告義務などを「今⽇の英語」(下で詳述)などと併せて展開したりするなどの⼯夫をしたためかと思われます。
また⽣徒の⽅でも、休校期間に⾃ら定期的に課題に取り組むことを通して「⾃分で学習をする」という意識づけができてきたためだと考えます。様々な材料を⽤意する学年の努⼒が少しずつ実ってきていると感じています。
❶今日の英語
休校中から分散登校期間において⽣徒の家庭での⽣活リズム、および学習の継続を促すために平⽇は毎⽇配信しています。
主に本来授業の帯活動で扱う予定でいたリスニング教材やリーディング教材、⽂法学習教材などをオンライン上で Forms に回答する形で毎⽇少しずつ取り組んでもらっています。(Forms の「クイズ」機能でアンケートを作成・回答すると採点結果が⾃動的に表⽰されるので、⽣徒は⾃ら丸つけを確認して、誤った箇所について⼿元の教材をもとに復習することができます。)
また、6 ⽉ 1 ⽇以降は『 College Pathway』 での語彙学習状況についての報告や、語句語法問題のクイズなどもこちらのページで課題を配信することで、より活動のバラエティを増やしています。
これまで毎⽇英語を学習する習慣はなかったが、「今⽇の英語」を通して毎⽇少しずつ学習することの意義を実感できた。⾃分で今後英語を学習する際も、こうした⽅法を応⽤し、実践したい。(高校2年O君)
❷ロイロノートでの教科書関連の課題提出
「コミュニケーション英語 II」も「英語表現II」もこれまで休校中に実施しやすい単元をまず選択して課題を配信し、⽣徒に取り組んでもらってきました。⽣徒には、これらの情報をもとにワークシートや⾳読データなどをロイロノートで提出したり、Forms で確認クイズに答えたりするよう指⽰をしてきました。
この間、⽣徒からの質問は随時、ロイロノートやメールで送ってもらい、対応しました。例えば、その結果質問が多かった「仮定法」のポイントについては解説動画を作成するなどして対応しています。
これまで家庭学習の習慣がなかなか定着しなかった生徒が多かった中で、教員の想像よりは休校期間の後半などはより積極的に課題提出に励む⽣徒が多かった印象です。⾼2という時期で⾃ら学習を進めていく必要性を個々の⽣徒が意識し始めるタイミングと⼀致したためでしょうか。中には「暇すぎて勉強した」などの声もありましたが・・・・・・。
3.その他の授業
授業の多くは他学年同様「非同期(オンデマンド)双方向型」で実施されています。
以下、様々な授業の様子です。
■古文
鴨長明『方丈記』を取り上げた課題では、生徒から次のような感想が返ってきました。
鎌倉時代で末法思想が広まっているからこそ、変わっているものに不安や無常観が生じてしまい、普段の何気ない生活が幸せなことであり、それが続くことを願っているのだと思った。また、それは、今の世の中に当てはまることだと思った
また、『大鏡』の授業では別の生徒からこんな感想も。
前にテレビの某番組で、徳川慶喜を生で見たことのある人を探すという企画を見ました。本当にあった人もたった1人まだ生きていました。さらにほかの老人たちは関東大震災のことについてすごく鮮明に覚えているようで、その話を聞いて、自分の中では歴史で習うことでも実際に体験した人は本当に克明に覚えているのだなあと感動しました。この話では190年も前の話を聞いているわけなので、先生もおっしゃていたように江戸時代の慶喜よりも前の将軍の話なども聞けるのかなぁとか、大政奉還が起きたときのことも覚えているんだろうなあなどと考えていたら面白くなってきました。あといつも思うのですがイラストとてもかわいいです。
■理系 数学Ⅱ
■生物
オリジナルテキストの「昇鯉の巻」のテキストを配信し、その解説の授業動画を配信しました。生徒達からは授業動画に対して、「何度も観ることができ、わからないところを繰り返しみることができて良い。」「楽しく観させてもらっている。」などの感想をもらっています。
昇鯉の巻には、問があり、細胞の膜タンパク質について学ぶ時には、「海の中の生きているコンブはダシが出ないが、鍋で煮るとダシが出るのはなぜ?」を科学的に考えました。また、映像の利点を生かして、浸透圧の演示実験では50倍速で再生し、その様子を観てもらいました。
課題は毎週、ロイロノートなどを用いて、生徒が解いたものを提出してもらいました。課題の提出状況や学校が再開してから生徒に聞いてみると、視聴率も高かったようです。
休校期間中に学びを止める事なく、新たなスタイルで学び続けることができたのではないかと思います。
最後に素敵な美術の課題です。
高2の「遠隔学習指導レポート」は以上です。
次回は中学2年です。
お楽しみに。
※一部の画像は加工処理しています